相続財産と破産(相続が破産にもたらす影響は)

相続財産も財産です

目ぼしい財産は換価の対象です

自己破産の申立ては、借金を免除(免責)してもらうために行うのが通常ですが、その代わり、目ぼしい財産は換価の対象となります(失います)。

目ぼしい財産として考えられるものは、不動産、自動車、解約返戻金のある生命保険などですが、見落としがちなのは、相続財産です。

ご両親が亡くなって、相続人間で、遺産分割協議をして、他の相続人が取得することになったけど、不動産の相続登記をしておらず、ご両親のままになっているというケースもたまにあります。

このような場合、「相続人間で話はついていました」と説明しても、通常、この説明は通らず、ご自身の法定相続分に相当する財産が換価の対象となります。

破産管財人は、他の相続人と遺産分割協議を行い、協議によって取得した財産が破産財団に組み入れられることになります。

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破産準備中(破産手続開始決定前)に相続が発生した場合

遺産分割協議は問題となります

破産申立てをする事を決めて、弁護士に依頼を行い、破産申立ての準備中(裁判所の破産手続開始決定前)に、相続が発生する場合があります。

たとえば、この段階でご両親が亡くなった場合に、ご両親の財産について、遺産分割協議を行い、別の相続人が相続する(ご自身は何も取得しない)という遺産分割協議を行うと、詐害行為(債権者を害する行為)にあたるとして、破産管財人よりこの遺産分割協議を否認され、他の相続人に、ご自身の法定相続分に相当する財産を請求される可能性が高いです。

従って、この段階での相続について、遺産分割協議を行う事はこうした問題が生じます。

相続放棄を検討します

上記のような事例で、相続財産が換価の対象となるのを防ぐためには、期限内に相続放棄を行うことが有効です。「相続放棄」は、この場合は、家庭裁判所に申し立てる「相続放棄」の事を意味します。単に、「相続を放棄します」という書面にサインをして場合は、「遺産分割協議」に過ぎません。

この破産手続開始決定前の相続放棄については、破産管財人は否認する事が出来ません

相続放棄をすると、放棄をした者は相続人ではなくなりますので、この相続財産は換価の対象にはなりません。

破産手続開始決定後の相続

新得財産とは

破産手続開始後に相続が発生した場合、その相続によって得られる財産は「新得財産」と呼ばれ、破産財団に組み入れられることはありません。どれだけ借金が多くて破産したとしても、完全に自由に財産を取得し、処分することが出来ます

あくまでも、換価の対象となる財産(破産財団に組み入れられる財産)は、破産手続開始決定時に存在する財産です。

破産手続開始の時刻は分単位で指定される

以上のとおり、破産手続の開始と相続の発生のどちらが早いかは、非常に大きな違いをもたらします。

ほんの少し早いか遅いかで、大きな違いが生まれます。相続の発生時刻は、被相続人の除籍謄本に記載があり、通常は、〇月〇日〇時〇分と分単位で記載があります。

同様に、破産手続開始時刻についても、裁判所が発行する破産手続開始決定書に記載があり、那覇地裁の場合は、「〇月〇日午後5時」(=午後5時00分)と記載があります。
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